雨のち晴れ

自由帳

日本国憲法24条は同性婚を禁じているか

こんにちは!

 

 九州地方は豪雨による水害が甚大だとニュースで知りました。普段はほとんどテレビを見ないので、被災地の惨状が映し出されるたびに胸が痛みます。災害に見舞われた方、消防や警察、自衛隊など災害に関わる方の安全を祈っています。

 

 学生の頃に憲法24条と同性婚についての関係を殴り書きしたメモが出てきたので、それを参考にしてちょいと肉付けをしながら「自由帳」という形でまとめてみますね。

 

このblog記事を読む前にこの前に書いた記事を読んでいただけると、僕の主張がより分かりやすくなると思います。 

amehare.hatenablog.jp

 

では、本題に入ります!

 

 

 

 

 

1. 日本国憲法24条が施行されるまでの日本の婚姻制度

 ここでは、明治民法下での婚姻がどういうものであったかを軽く取り上げ、現在の日本国憲法24条が制定された経緯を簡単に説明します。


 明治民法において、婚姻は家と家の契約でした。また、明治民法750条は「家族カ婚姻又ハ養子縁組ヲ為スニハ戸主ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス」と定め、婚姻や養子縁組については、戸主や両親の同意が要求されていました。そのため、婚姻が、相手方男性と女性の両親とが婚姻の当事者である女性の意向を無視した話し合いで決めてしまう事例も多々ありました。


 GHQはこのような男女不平等を撤廃するために、男女平等や女性の権利尊重を具体化するような新憲法の作成に着手しました。

 

2. 日本国憲法24条GHQ草案と日本国憲法24条を読む

 まず、日本国憲法24条GHQ草案と日本国憲法24条の草案から制定までの変遷を確認します。

 

 日本国憲法24条GHQ草案

  Marriage shall rest upon the indisputable legal and social equality of both sexes, founded upon mutual consent instead of parental coercion, and maintained through cooperation instead of male domination. 

  婚姻は、両性の社会的平等また明確な法の上になされるもので、両親に強制されることなく相互の同意の上に成り立つものであり、男性優位ではなく互いの協力により維持される

 

 日本国憲法24条

  Marriage shall be based only on the mutual consent of both sexes and it shall be maintained through mutual cooperation with the equal rights of husband and wife as a basis.

  婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

 

 このようにみると、草案が「男女平等」「相互の合意」「家制度からの女性解放」に重きを置いていることが読み取れます。長い草案条文からスリムにさせたのが現条文です。内容も草案時から変わっていません。

 

  次に最高裁判所判例から、日本国憲法24条1項がどのように解釈されているのかをみます。

 

3. 日本国憲法24条1項の解釈と同性婚の可能性

 ここでは、憲法24条が同性婚を禁じているのか、最高裁判所判例を引用しながら検討していきます。

 

 日本国憲法24条1項の解釈

 まず、最高裁判例を書きますね。僕が大切だなと思うところに下線部が引いてあります。

 

2015年12月26日、最高裁判所大法廷で夫婦別姓訴訟の判決がありました。その判決文の中で、最高裁大法廷は憲法24条1項について以下のように判示しました。

また、同上1項は、「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。」と規定しており、婚姻をするかどうか、いつ誰と婚姻をするかについては、当事者間の自由かつ平等な意思決定に委ねられるべきあるという趣旨を明らかにしたものと解される。
最判平成25・12・16民集67巻9号1761頁
(下線は筆者によるもの)

  

 最高裁日本国憲法24条1項の解釈を読めば、同性婚が禁じられていないことは明白です。日本国憲法24条1項の目的は、婚姻は「当事者間の自由かつ平等な意思決定に委ねられるべきである」という趣旨を明らかにしたもので、先ほどあげた、日本国憲法GHQ草案を具体化させたもに他ならないからです。

 

 同性婚の可能性

 このように、日本国憲法24条が書かれた背景や最高裁判例を読むと、同性婚を禁じていると解釈はできないです。より詳しく書きます、

 憲法学において、日本国憲法24条が規定する男女平等や女性の権利尊重などの保護は及ばないとするのが通説です。なぜなら、日本国憲法24条は婚姻の男女平等や女性の権利尊重を保護するものであるので、同条文がそのまま同性カップルに適用することはできないという解釈になるのです。おそらく、誰でもこの点に関して異論はないと思います。

 しかし、最高裁が示したように、婚姻が「当事者間の自由かつ平等な意思決定」により成立するのならば、同性カップルにも同様のことがいえるのではないでしょうか。

 つまり、日本国憲法24条が規定する男女間に関する保護は同性カップルには及ばないが、日本国憲法24条が同性婚を禁止しているとまでは言えないということです。民法など関連する法律の改正で同性婚ができるというわけです。

 

4. 政府見解

 一応、現内閣の政府見解を書いてざっくりとまとめにはいります。

 

 平成30年の常会で立憲の逢坂誠二衆議院議員が「日本国憲法下での同性婚に関する質問主意書」を内閣に提出しました。いくつかの質問のうち1つを取り上げます。一部抜粋です。

逢坂議員「現在、同性婚日本国憲法第24条第1項に反し、違憲であると考えているのか。政府の見解如何。」

この質問に対する内閣の回答は以下です。

内閣「憲法第24条第1項は、「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立」すると規定しており、当事者双方の性別が同一である婚姻(以下「同性婚」という)の成立を認めることは想定されていない。」

 

 そりゃそうだ。日本国憲法24条は異性婚の婚姻を保護するための規定ですから、その保護が同性カップルに適用することは想定されていないのです。しかし、官僚答弁みたいですが、内閣の回答を読めばわかる通り「同性婚違憲です」とは言っていません。つまり、同性カップルの婚姻を「想定」すれば、同性婚民法等の改正で可能であるということですね。

 

3. ざっくりまとめ

 日本国憲法24条がいう婚姻は異性婚についての定めであり、同性婚にそのまま適用することはできません。しかし、日本国憲法24条GHQ草案から現日本国憲法24条、最高裁判例などを参照すると日本国憲法24条が同性婚を禁じているとは解することはできません。同性婚に婚姻と同様の法的効果を与えることは日本国憲法24条と矛盾するものではないです。
 今回は触れませんでしたが、同性婚日本国憲法13条や同14条からも積極的に認められるべきものであると考えます。